英語表現リスクマネジメント2(コミュニケーションは過不足ない表現で)

英語表現リスクマネジメントについて

前回も述べたようにこのシリーズでは日常の誤解に繋がった出来事を採り上げて、その背景と何が原因で誤解に繋がったのか、そしてどのようにすれば誤解のリスクを少なくすることができるかを紹介する。

なお、タイトルの英語表現リスクマネジメントは英語表現とリスクマネジメントを合わせて作った造語である。リスクマネジメントの概念を英語コミュニケーションエラー最小化のために適用したらどうなるかがもう一つのテーマである。

今回のフレーズ

今回重要な特定されたリスクとして取り上げるのは、次のフレーズである。

Look at the chain.

背景

私と妻はあるレストランで昼食を食べようとしていた。

入店した際に窓際の席は空席だったので、そちらに行こうとしたのであるが、店員から他の客が座っている席の近くを指定されたので指定された席に着席した。

しばらくたって、窓際の席を見ると先ほどまでは自由に入ることのできた窓際の席の入り口が、チェーンで塞がれ入れなくなっているではないか。

恐らく、今までは誰も窓際の席を選択しようとする客がいなかったのだと思うが、今後間違えて座ってしまう客がいないように物理的に入り口を封鎖してしまうことにしたようだ。

私は入り口が入り口が塞がれたことを妻に伝えようとして以下のフレーズ:

Look at the chain.

を「ほら、チェーンが着いちゃった」という意味で用いたのである。

これを聞いた妻は??という反応で、

What? Change?

と聞いてきた。

どうやら、私の目に映っている黒い鎖をただchainと伝えたところ、深刻なコミュニケーションエラーが起きてしまったようだ。

安全性検討事項

今回の問題点は何だろうか?

一言でいえば、あまりにも簡素に表現しすぎたことである。

通常英語を書く際には相手が当該トピックに関してどの程度知識があるかを十分吟味し、過不足なく背景及びキーメッセージを伝える文章を書く必要がある。

一方、会話では一般的に言って完全な文を構築して発現する必要がない。それよりも重要なのはある種のリズム感であり、テンポよく会話を進めることである。

今回問題になったのは、そうは言ってもある程度は限度があり、やはりあまりにも曖昧な表現をすると大きな誤解が生じるということである。

つまり、会話では聞き手に完全な情報を提供することと、テンポよくタイムリーに最小限の情報を提供することのバランスをとりながら発現する必要がある。

このバランスを間違えると深刻なコミュニケーションエラーを起こしてしまう可能性がある。

したがって、「あまりにも端折られた表現一般」を「重要な特定されたリスク」とする。

安全性監視計画・リスク最小化計画

ではどうすれば、このような誤解を避けることができるだろうか。先ほどの安全性検討を基にすると、常に相手の立場から自分の言っていることが、主観的なフレーズになり過ぎていないかどうかを意識することで対処できそうである。

誤解の可能性と重大性から、今回の件もそれほど大事にはならなかったが、コミュニケーションの効率が落ちるのは確実なので、通常の安全監視計画及びリスク最小化計画に加え、追加の措置が必要である。

では具体的にどうするか?

 

先ほどの例でいうと、ベストなフレーズは

 

The window seat area is chained off now.

 

であり「窓際の席のエリアが入れなくなった」というニュアンスがでる。

ここではroped offという表現も使える。

先ほどのLook at the chain.との違いは、窓際の席がチェーンで塞がれたという事実に焦点をあてていることである。

当初の言い方だとチェーンを見てといっているので、言いたいことの本質から離れている。

 

これが通常のリスク最小化計画であり、状況に即した表現を使うということである。

通常の安全性監視計画は、常に相手の立場から自分の言っていることが、主観的なフレーズになり過ぎていないかどうかを意識することである。

追加の安全性監視計画は、定期的に、常に相手の立場から分かりやすく伝えたい事を簡潔に表現したフレーズを発信しているかどうかを意識を自分にリマインドすることである。

また、追加のリスク最小化計画は、誤解が生じていないかどうか相手に定期的にフィードバックをもらうことである。

これらのリスク管理計画を策定・実施することで、コミュニケーションエラーは確実に減少するだろう。

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