最終的には上から目線が問題を解決してくれる

上から目線と聞いてどんな印象を持たれるでしょうか。

おそらくほとんどの人はネガティブな印象を持たれると思います。

 

私も昔は自分が上から目線で客観的に(?)ものを言うことで、目上の人に失礼になるのではないかと考えて、そうならないように常に気を付けていました。

 

数年前に流行った筋トレ社長の本に「上から目線で下手に接しろ」と書いてあって、「なるほど、そうすれば相手の気分を害することも少なくなる」と感心した記憶があります。

 

この「上から目線」というのは本来はネガティブな意味では必ずしもなく、「広い視野で物事を上のレベルから見る」ということを意味していると思います。

つまり遊園地の迷路で迷ったときに、地上からの視点で外に出ようとするとかなり苦労すると思いますが、鳥になったような視点で上から見渡すことができれば、明らかに簡単に脱出可能であることに似ています。

 

製薬業界で仕事をしていると、日常的に様々な課題が降ってきます。おそらく製薬業界だとか製薬会社で働くことに限定されずに、生きるということが課題への対処の連続であり、課題がなくなるとしたらそれは死後の世界なのでしょう。

 

そして、ほとんどの課題というのはある課題に関してどのような選択肢があるかを洗い出し、どれを選ぶか決定して、実際に対処していくという複数のステップからなります。

個人単位であれば、すべて自分の責任なので、独断と偏見で比較的簡単に選択肢を選ぶことができます。しかし、会社やチームで仕事をしている場合、プロジェクトは自分の持ち物ではなく会社の持ち物であるので、然るべき権限を持ったマネジメントの人たちや責任部署人たちに、取りうる選択肢やベストな選択肢を理由や根拠とともに提示する必要があります。

 

そして、この複数の人たちにベストな選択肢を説明して合意を得ることができれば、課題は8割方解決したと言っても過言ではありません。

以前書いたように専門領域や経験が異なる人は往々にして同じものを見ても違うことを考えるため、またさらに、異なる部署の人々は別の利害関係を持つことが多いために、チームの意見がまとまらないことは往々にしてあります。

 

こうなったときに、反対している人や意見が違う人たちと同じレベルの思考で、無理に説き伏せようとしてもスムーズに議論がまとまることはまずありません。仮に意見が通ったとしても、顔を潰したり、根に持たれたりして禍根を残すだけです。

 

重要なのは、どの人の意見も究極的にはプロジェクトや会社を良くしたいという意図から生まれているということを理解し、その意見がなければチームが偏った決断をしてしまっていたことにまずは感謝することです。

 

そのうえで、少なくとも1段階か可能であれば複数段階上の視点から、異なる意見を統合して、より多くの人にメリットがある解決策を選択できないか検討します。

 

と簡単そうに書きましたが、習熟するためには考えながら実践する必要があり、私も日々鍛錬しています。

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