1回1文!目と耳から服用するくすりの英語#34
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https://www.mag2.com/m/0001684701.html#detailbox
■例文:
The FDA issued a draft guidance encouraging sponsors to loosen exclusion criteria to allow more diverse patient populations especially for later stage trials.
参考
(リンク先へのアクセスは自己責任でお願いします)
■音声:
■語彙:
FDA:米国の医薬品等規制当局
draft guidance(s):ドラフトガイダンス。あるトピックについてFDAの現在の考え方を示した文書。lawやregulationのように法的拘束力はないが、特に理由がなければ実質的に順守を求められる。一般意見(パブリックコメント)を検討後に最終化されることが多い。
sponsor(s):治験依頼者、申請者。「sponsor(s)」は通常資金を出したり、計画等を支持したりする人や団体を意味する。ここでは医薬品の臨床試験について責任を持つ人や団体、つまり治験依頼者を意味している。最終的にはその医薬品の承認申請に責任を持つ申請者という意味でも用いられる。
exclusion criteria:その基準を満たす被験者を参加させない基準。その基準を満たす被験者を参加させる選択基準と対にして用いられる。
more diverse patient population(s):より多様な患者集団。臨床試験では医薬品等の有効性、安全性を一定の基準を満たした集団で評価する。ただこの集団が、厳しく選定され過ぎており、実際に医薬品等が承認された後に使われる集団を適切に反映していないという課題がこの表現の背景にある。
later stage trial(s):より後期の臨床試験
■重要表現・解説:
issue:発出する。通知や公的文書などを発行、公開するときに用いる表現
encouraging:推奨した
loosen:緩める
allow:許容する
especially:特に
■訳:
FDAは、より後期の臨床試験でより多様な患者集団が許容されるよう、治験依頼者が除外基準を緩めることを推奨したドラフトガイダンスを発出した。
■省エネフレーズ:
FDA issued draft guidance encouraging sponsor to loosen exclusion criteria to allow more broad patient population especially for later stage trial.
このフレーズを実際に自分で活用する際は、冠詞、完了形、3単現のs及び複数形を省略したり、前置詞のミスは無視しても十分通じる。
今回は、冠詞を削除し、複数形を単数形とした。また「diverse」をより簡単な「broad」とした。
省エネフレーズに関しての詳細は、製薬英語マスターの労力を8割減らすための3つのポイント(保存版)を参照されたい。
■編集後記
こんにちはシュウです。
今回は臨床試験と選択基準ということで、最近FDAから発出されたドラフトガイダンスをテーマにしました。
このガイダンスの主旨は、臨床試験で通常特に大きな理由もなく除外されているけれども、実際に投与される患者には多分に含まれている老人、小児、極端な体重の患者、臓器機能障害患者、がんやHIVなどの患者などが臨床試験対象に含まれるようにして、より市販後の実態に近い集団での安全性データ収集やリスク・ベネフィット評価をすることにあります。
医薬品の開発では臨床試験が非常に重視されます。
対象となる病気や患者を示す「効能又は効果」、どれくらいの量をどれくらいの頻度でどのように投与するかという「用法及び用量」はどちらも臨床試験の結果を基にして決定されます。
臨床試験は医薬品の承認まで通常3つの段階(相)から構成されます。
少数の健康な大人に投与して安全性や血中濃度のデータを取る第I相、
健康人でなく患者に投与して効果があるか、またどの量が一番効果があるかを見る第II相、
そしてより想定の患者に近くより人数の多い集団に投与して第II相の結果を検証する第III相です。
第III相は、通常その医薬品が使用される患者に一番近い集団で試験をします。
一方で試験段階で安全性のリスクが比較的大きいということからの倫理的理由や、代謝が異なるなど様々なファクターを除外して評価をしやすくすることから、老人、小児、妊婦、肝腎などの機能障害患者及び糖尿病、がんやHIVなどの患者は除外される規定になっていることが多いのです。
このような事情を考慮し、臨床試験の患者の多様性の不足を補うため市販後調査では臨床試験では見られなかった安全性上の問題がないか評価されます。
今回のガイダンスにより、臨床試験の安全性を担保しつつより多様な患者を参加させるようFDAが推奨することで、国際共同試験参加が当たり前になった日本の医薬品開発への影響も大きいと思います。