11文!目と耳から服用するくすりの英語#36

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https://www.mag2.com/m/0001684701.html#detailbox

■例文:

Orphan designation grants a special status with various development incentives to a drug for treating a rare disease or condition meeting certain criteria.

参考

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068484.html

(リンク先へのアクセスは自己責任でお願いします)

■音声:

■語彙:

orphan designation:オーファン指定

special status:特別なステータス

 

■重要表現・解説:

grant [名詞] to [名詞]: ○○に××を与える。同様の意味のgiveよりもフォーマルな言い回し。

with variuos development incentives:様々な開発上のインセンティブを伴った。インセンティブは行動を起こすためのメリットになるもの

drug(s) for treating a rare disease or condition:希少疾病治療のための医薬品

meeting certain criteria:所定の要件を満たした

■訳:

オーファン指定により、所定の要件を満たした希少疾病治療のための医薬品には、様々な開発上のインセンティブを伴った特別なステータスが与えられる。

■省エネフレーズ:

Orphan designation grant special status with various development incentives to drug for treating rare disease meeting certain criteria.

このフレーズを実際に自分で活用する際は、冠詞、完了形、3単現のs及び複数形を省略したり、前置詞のミスは無視しても十分通じる。
今回は、3単現のsを削除し、複数形を単数形とした。また、「rare diseases or condition」を「rare disease」と簡素化した。

 

省エネフレーズに関しての詳細は、製薬英語マスターの労力を8割減らすための3つのポイント(保存版)を参照されたい。

■編集後記

こんにちはシュウです。

今回のテーマは希少疾病用医薬品、いわゆるオーファン医薬品です。

医薬品は基本的には特定の病気を治療するために製薬企業が開発、製造し医療現場に届けられます。そこには製薬企業としての社会的使命感や責任があります。しかし、一方で医薬品の開発には10年単位の時間と膨大な資金が必要になることを考慮して、開発医薬品に対してはある程度の利益確保が期待されます。

つまり、医薬品開発のターゲットになるのは、一定程度患者数があり上市されたあとにそれなりの使用数が見込める病気になります。逆に言えば、患者数が少なくあまり認知されていない病気に対する医薬品は採算が取れない可能性が高くターゲットになりにくいと言えます。オーファン医薬品は、このような患者が少ない病気に対して医薬品が開発が推奨されるよう政府が設けている制度です。

 

オーファン医薬品の制度は日本では、希少疾病用医薬品指定制度と呼ばれ薬機法の77条に規定されています。オーファン指定を受けることにより審査上や開発経費面での優遇を受けることができます。

優遇措置の内容としては、助成金の交付、優先的に開発や薬事上の助言が得られる優先対面助言制度、対面助言や審査手数料の減免、開発経費の控除措置、審査期間の短縮、再審査期間の延長があります。なお、オーファン医薬品の制度は米国や欧州にも同様に存在します。

 

オーファン制度の申し込みは医薬品が要件を満たしていることを説明する資料を準備して厚生労働省に申し込みます。指定申請の前には面談をすることが必要で、面談で問題がなければ正式に指定申請書を提出します。この後、PMDA、厚労省での審査と薬事・食品衛生審議会での協議を経て指定の可否が決まります。

指定の要件は対象患者数が5万人未満であること、医療上の必要性があること、開発の可能性があることの3つになります。医療上の必要性は、現在有効な治療法がないこと又はその医薬品の有効性・安全性が既存の医薬品に比較して圧倒的に高いことを満たす必要があります。開発の可能性は、対象の病気に対してその医薬品を使用することが妥当である説明ができることと開発計画が妥当であることです。

 

オーファン医薬品制度の実際のメリットとしては、相談・審査手数料の減免(15%~20%程度)、審査期間の短縮、再審査期間の延長でしょう。最初の2つに関しては少ない開発経費で早く製品が承認されるということでメリットは明らかです。

再審査期間に関しては、通常の新薬が8年のところが10年になります。再審査期間は新薬が発売された後も有効性と安全性を継続的に評価する期間ですが、この期間中はジェネリック医薬品の申請ができません。したがって、2年再審査期間が延長されることで、先行者利益を受けられる期間が長くなります。

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