11文!目と耳から服用するくすりの英語#24

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https://www.mag2.com/m/0001684701.html#detailbox

■例文:

Under the right conditions, real world evidence may be suitable to support regulatory decision-making: the approval of a new indication of approved drugs or devices, or the clearance or approval of new devices.

参考:https://www.fda.gov/scienceresearch/specialtopics/realworldevidence/default.htm
(リンク先へのアクセスは自己責任でお願いします)

■音声:

■語彙:

real word evidence (RWE):リアルワールドエビデンス。
リアルワールドデータの解析から得られた、製品の使用や臨床上リスク・ベネフィットに関するエビデンス。リアルワールドデータは、患者の健康状態や医療を行う上で日常的に収集される種々のデータを指す。電子カルテなどの診療情報や電子レセプトなどの診療報酬情報が該当する。

regulatory decision-making:薬事的な意思決定。製品について、承認するかどうかの規制当局の意思決定を指している。
規制当局については、バイリンガル製薬業界概説を参照。


approval:承認

new indication:新適応。適応は「効能又は効果」のことであり、製品の使用対象病態・患者等を規定する。

approved drug(s):承認済医薬品。ここでは既にある医薬品に新しい適応を追加するいわゆる一変申請のことを指している。
一変申請についての説明はバイリンガル製薬業界概説を参照。

 

clearance or approval of new device(s):新医療機器の承認。どちらも医療機器に関するFDAの製造販売許可を意味する用語。「clearance」は「市販前届出(審査あり)」である「510k申請」での承認、「approval」は「市販前承認申請」である「PMA申請」での承認を意味する。

■重要表現・解説:

under [名詞]:○○の状況下で

right condition(s):適切な条件

may be suitable :適切である可能性がある。「suitable」は適切。「may be」は可能性を表す。可能性の強さは、「probably」 > 「may be」 > 「might be」 > 「perhaps」の順。

support:支持する。ここでは薬事的な意思決定の根拠となるという意味

: (colon):コロンは前文で説明した内容の補足を加えるときに用いる。コロンの後は単語の列挙でも文章でもどちらでも良い。

■訳:

適切な状況下でのリアルワールドエビデンスは、既承認薬・機器の適応追加や新医療機器承認などの薬事的な意思決定の根拠資料となり得る。

■省エネフレーズ:

Under right condition, real world evidence may support regulatory decision-making: approval of new indication of approved drug or device, or clearance or approval of new device.

このフレーズを実際に自分で活用する際は、冠詞、完了形、3単現のs及び複数形を省略したり、前置詞のミスは無視しても十分通じる。
今回は、冠詞、3単現のsを削除し、複数形を単数形とした。またほぼ意味が変わらないので「may be suitable to support」を「may support」とした。

省エネフレーズに関しての詳細は、製薬英語マスターの労力を8割減らすための3つのポイント(保存版)を参照されたい。

■編集後記

今回は、近年日本でも製薬業界で活用法が議論されているリアルワールドデータ(Real World Data:RWD)及びリアルワールドエビデンス(Real World Data:RWD)について採り上げました。

RWDはいわゆる医療分野のビッグデータです。

従来の臨床試験(治験)データのように製品を上市するために得られたデータではなく、日々の診療行為に紐づいた現実世界の医療情報データを指します。そしてRWEはそのRWDを解析することにより得られたエビデンスです。

臨床試験(治験)データは通常医薬品等の承認の根拠資料として必須ですが、被験者数、投与期間、被験者の多様性に制限があることから、承認後の市販後調査等で安全性、有効性をより詳細に確認することになります。

一方、医療情報データは上市されている医薬品等に関してであれば上記臨床試験データの制限がなく、より真実を表している可能性が高いと考えられます。しかし、臨床試験に比較してバイアスが入りやすいという特性があります。

バイアスとは「偶然ではない系統的な誤差」を生む要因です。例えば、通常臨床試験では試験する医薬品と同じ形のプラセボを、できるだけ似通った2つの被験者集団に投与して効果を比較します。そして医薬品を投与される被験者も効果を評価する医師も、どちらが医薬品でどちらがプラセボか知らされません。そうしないと、医薬品だとわかっている場合に思い込みで評価に影響が出てしまうためです。

米国の規制当局であるFDAはこれまでにRWEに関するフレームワーク、ガイダンスを発出しています。
今回の例文はその主旨である「一定条件を満して信頼性を確保すればRWEが医薬品、医療機器の承認可否を判断する根拠となり得る」ことについてです。

日本でもRWD、RWEの活用は議論されています。
これまでに医療情報(診療報酬情報や診療情報)データベースに関する民間企業が、既に製薬企業を相手にサービスを開始しています。
また、昨年は国を挙げての医療情報データベースであるMID-NETのサービスが開始されました。
この流れに合わせて市販後臨床試験・調査等の薬事要件であるGPSP(Good Postmarketing Study Practice)省令も改訂されました。

FDAは市販後の安全性監視にRWD、RWEを長年活用してきましたが、近年条件次第では新規の承認の根拠資料にRWD、RWEを活用可能と言っていることが注目されています。
一方PMDAは市販後の安全性監視にRWD、RWEの活用を開始した状況ですので圧倒的に米国の方が進んでいると言えるでしょう。
この部分は中央集権的でMID-NETのような仕組みを早期に構築できる土壌が日本にありながら、医療情報データを重視してこなかったことが要因と思います。

米国のトレンドを見ていると日本でも今後はRWEと臨床試験や観察研究を組み合わせて、医薬品、医療機器の承認を可能とする流れになっていくと思われます。
これからの日本の追い上げに期待したいところです。

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