製薬業界で働くために必要なスキルには大きく分けて2つあります。
専門知識とマネジメントスキルです。
製薬業界の中には沢山の職種がありますが、いずれもこの2つのスキルを程度の大小はあれ要求されるものばかりです。
専門知識は文字通り知識・経験・技術等、自分がチームや会社に直接提供する価値です。
マネジメントスキルは、他のメンバーの知識・経験・技術等をチームや会社の成果物に提供してもらうことで、得られる価値です。
この2つのスキルが必要であることは他の業界とあまり変わらないかもしれません。
より重要なことはこの2つのスキルをどの程度持っているかによって、業界への入りやすさと生き残りやすさが全く違ってくることです。
医薬品を創製、開発、上市、また継続的に製造販売していくためには、高度な専門技術と資金、そして組織力が必要になります。このため、製薬会社には多様な専門家が各部署を構成しており、お互いに協力し合って日々の業務を進めています。
会社の観点から見ると、高度な専門知識を持ったプロ、特にその分野に精通しているだけでなく、同業者への影響力を持っている人間は人財として非常に魅力的です。
また、これらの高度な専門知識を持ったプロたちを繋ぐことにより、医薬品等の形ある製品やデータ・資料を、医療現場に価値ある形で生み出すことができるマネジメントスキルが高い人間も重宝されます。
高度な専門知識を持ったプロの代表としては、臨床経験が十分あり、医薬品開発に精通した医師が挙げられます。そもそも、医師はまだまだ製薬業界ではなく病院やクリニック等の医療業界が主な就職先であるため、製薬業界を選ぶ方々は希少で大変重宝されます。
一方で武器としてのマネジメントスキルを持ったプロの代表は、プロジェクトマネージャーです。マーケティング、営業、臨床、統計、安全性、薬物動態、品質、製造、非臨床、薬事等からなる専門家チームをプロジェクトに参加させ、価値ある製品や資材を作成します。
製薬業界を目指す人はまず、自分がどちらのカテゴリーで活躍するかというイメージを持つのが良いと思います。
恐らく標準的なのは上に書いたような専門分野をある程度身に着けて、業界に入り自分の領域での競争力を磨きながら少しずつ自分の上流や下流の領域に習熟していくことです。
以前も書きましたが、人は見に着けた知識や経験が違うと同じことを見たり聞いたりしても色眼鏡で解釈をしてしまう生き物です。このため、高い視点から、複数の専門家の専門知識や経験を翻訳してチームで共有しつつ、医療現場に最も利益をもたらす形で製品や資材に落とし込むスキルは職種を問わず大切になります。