11文!目と耳から服用するくすりの英語#17

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https://www.mag2.com/m/0001684701.html#detailbox

■例文:

The National Institute for Health and Care Excellence (NICE) rejected the new migraine-prevention drug, Aimovig, for adults who have at least four migraine days per month because the medicine was not considered cost-effective under the authority's criteria.

 

■音声:

■語彙:

National Institute for Health and Care Excellence (NICE):英国立医療技術評価機構(NICE)。近年日本でも注目されている医薬品等の費用対効果の評価を行う英国の公的機関。Cost-effectiveness watchdogと表現されることもあり、影響力が大きい。

migraine:片頭痛。脈打つような頭痛(片側が多い)が吐き気や嘔吐と一緒に起こり、数時間から数十時間持続する。

prevention:予防(薬)

drug:医薬品。薬事的な文脈で主に使われる用語。医薬品業界で使われる文脈では「drug」のみで麻薬を意味することはない。

adults:成人。小児と対で医薬品の対象患者を表すのに用いられる。

medicine:医薬品。医学一般の意味もあるが、通常の文脈では医薬品を指すことも多い用語。確実に医薬品を意図する場合はmedication(s)やmed(s)を用いるのが明確で良い。

authority(ies):当局。通常規制当局等の法的規制上権限を持つ公的機関を指す。

criteria:基準

 

■重要表現・解説:

reject:却下する。ここでは第1選択薬(first-line treatment)として推奨しない決定を下したという意味。

adults who have at least four migraine days per month:1月あたり少なくとも片頭痛の日が4日ある成人。「at least」で少なくとも。なお、フォーマルな英文ライティングでは10までの数字はスペルアウトすることが推奨されているため、「4」ではなく「four」が用いられている。

cost-effective:費用対効果が高い。通常、Quality Adjusted Life Years(QALYs)=質調整生存年という指標で評価される。健康で過ごした10年と病気でベッドの上で過ごした10年とではQuality of Life(QOL)の重みが違うという考え方であり、前者を10とすると後者は5等となる。NICEのガイドラインではQALY1年を得るのに掛かる追加コストが2万~3万ポンド以下であれば費用対効果が高いと考える。

■訳:

英国立医療技術評価機構(NICE)は、1月あたり少なくとも4日片頭痛日がある成人用の新片頭痛予防薬であるAimovigに関して、定める基準を満たしていなかったため費用対効果が低いとして、非推奨の決定をした。

■省エネフレーズ:

NICE rejected new migraine-prevention drug, Aimovig, for adult with at least four migraine day per month because drug was not considered cost-effective.

このフレーズを実際に自分で活用する際は、冠詞、完了形、3単現のs及び複数形を省略したり、前置詞のミスは無視しても十分通じる。
今回は、冠詞を削除し、複数形を単数形とした。また、「National Institute for Health and Care Excellence」は「NICE」、「adults who have」を「adults with」と簡素化した。さらに、意味が変わらないので「medicine」を「drug」とし、「under the authority's criteria」を削除した。

省エネフレーズに関しての詳細は、製薬英語マスターの労力を8割減らすための3つのポイント(保存版)(http://pharma-english.com/archives/64)を参照されたい。

■編集後記

今回は前回と同様Novartisのニュースを採り上げました。内容は例文に記載した通りで、新型片頭痛予防薬について、英国の費用対効果の公的評価機関であるNICEが非推奨のドラフトガイダンスを出したというトピックです。

片頭痛は本文にも書きましたが、吐き気、嘔吐を伴う拍動性の頭痛が継続的に起こる疾患です。発作が起こってから治療する医薬品としては、トリプタン系の薬剤が世界的に用いられていますが、予防薬には決定打がないという状況でした。
そこで登場したのが、抗CGRP抗体と呼ばれる新しいクラスの医薬品です。今回登場したAimovigは抗CGRP抗体製剤の中で一番早くFDA、EMA承認を取得した医薬品です。
他にはEli LillyやTEVAが同様の抗CGRP抗体製剤を開発して、FDA承認を得ています。
今回AimovigがNICEの推奨を得られなかった背景は、既存治療と比較可能な十分なデータがなかったことが大きいようですが、後続の2社の製品がNICEの推奨を得られるかどうか興味深いところです。

なお、今回登場した「費用対効果」という概念ですが、無茶苦茶簡単に説明すると、次のようになります。
1日1回投与の500円の医薬品Aを毎日投与して、QOLが0.5(QALY=0.5)と仮定し、1日1回投与の1000円の医薬品BでQOLが1(QALY=1)となった場合を考えます。
追加費用500円×365=182,500円で追加のQALY=0.5が得られるので、1QALY当たりの追加費用は365,000円となります。
この数字だと余裕で2万~3万ポンドより下の費用なので、費用対効果は高いと言えます。
ちなみにAimovigの薬価は年間約5000ポンドとのこと。データが十分なら推奨されていたのでしょうか。

実際の医薬品の効果判定ではQALYへの反映のされ方がより複雑なので、これほど簡単には計算できませんが、概念としてはシンプルなものです。

現在費用対効果の評価が試験的に導入され、今後の活用法が検討されていますが、より本格的に導入されると医薬品の薬価に与える影響も大きくなることが予想されます。
今後は日本でも欧州のように「製品が薬事的に承認されるだけではなく、費用対効果の点からも良い評価を得る」ことが製品戦略上重要になってくるのでしょう。

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