1回1文!目と耳から服用するくすりの英語#25(Brexitと医薬品)

11文!目と耳から服用するくすりの英語#25

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https://www.mag2.com/m/0001684701.html#detailbox

■例文:

The European Medicines Agency (EMA) encourages drug sponsors to file minor marketing authorization change submissions well in advance of the UK's scheduled exit from the EU on March 29.

参考:https://www.ema.europa.eu/en/news/procedural-update-submission-type-i-variations-ema-march-april-may-2019
(リンク先へのアクセスは自己責任でお願いします)

■音声:

通常版

電話版

■語彙:

European Medicines Agency (EMA) :欧州医薬品庁(EMA)。欧州の医薬品等規制当局。
規制当局については、バイリンガル製薬業界概説を参照。

drug sponsor(s):医薬品申請者。「sponsor(s)」は通常資金を出したり、計画等を支持したりする人や団体を意味する。ここでは医薬品の製造販売に関する申請について責任を持つ人や団体、つまり製造販売業者を意味している。
医薬品製造販売と申請に関しては、バイリンガル製薬業界概説を参照。

minor marketing authorization change submission(s):軽微な製造販売承認変更申請。英国がEUから離脱するにあたり、英国内の申請者によるEU関連の申請は、EU内の申請者に移管される必要がある。このための住所変更等の軽微な変更申請を指している。

■重要表現・解説:

encourage [名詞] to [動詞]:○○が△△することを奨励する

file:提出する

well in advance of [名詞]:○○の前に十分余裕をもって

scheduled exit from [名詞]:○○からの計画的な離脱

■訳:

3月29日に予定されている英国のEUからの離脱の前に、余裕をもって製造販売承認の軽微変更申請を行うよう、欧州医薬品庁(EMA)は医薬品製造販売業者に呼びかけている。

■省エネフレーズ:

EMA encourage drug sponsor to file minor change submission well before Brexit on March 29.

このフレーズを実際に自分で活用する際は、冠詞、完了形、3単現のs及び複数形を省略したり、前置詞のミスは無視しても十分通じる。
今回は、冠詞、3単現のsを削除し、複数形を単数形とした。また、ほとんど意味が変わらないので以下のように簡素化した。「The European Medicines Agency (EMA)」を「EMA」、「minor marketing authorization change submissions」を「minor change submission 」、「well in advance of」を「well before」及び「the UK's scheduled exit from the EU on March 29.
」を「Brexit on March 29」。

省エネフレーズに関しての詳細は、製薬英語マスターの労力を8割減らすための3つのポイント(保存版)を参照されたい。

■編集後記

今回は、医薬品業界以外でも注目が集まっているBrexit、英国のEU離脱と医薬品への影響を取り上げました。

知らない方のために少し背景について触れておきます。

英国は2016年の国民投票で1973年から続く欧州共同体の一員から離脱する決断をしました。

 

この背景は医薬品業界風に一言で表すと、EUの一員としてのベネフィットがリスクに見合わなくなったからです。

 

ベネフィットとして、欧州で共同体を形成することで米国に対抗できるということがあり、英国はリーダーとなることを期待していました。現実には、欧州は大陸側のドイツ、フランスが主導権を握ることが多く英国としては歯がゆい思いをすることも多かったと考えられます。

リスクとしては、2010年のギリシャの財政破綻はEU加盟国に大きな爪痕を残しました。EUの加盟国は稼ぎの大きい国がEUの運営のための費用をより多く負担する必要があります。英国は稼ぎが多いので負担も大きいです。

また、EUの中では住民は、移民、難民を含めて移動が制限されていません。ということは、英語圏であり経済的にも恵まれている英国には大量に移民、難民が押し寄せることになります。

以上をたとえ話にすると、「リーダーになりたい真面目で働き者の英国は働きたくないオーラが出ていてあまり付き合いたくない人とつながっているEUから離れたくなった」ということです。

ただ、すぐに離脱できるわけではなく、正式なプロセスに則った手続きと条件の交渉が必要でその期限が2019年3月29日となっています。

この条件が整えばBrexit with a dealで、英国はEUと緩やかなつながりをもったまま、また移行期間もありの離脱になりそれほど大きな問題はありません。しかし、現在可能性として高いのがBrexit with no dealで、英国がEUから完全に切り離され、かつまったく移行期間なしの離脱です。

このBrexit with no dealの影響はあらゆる分野に及びます。

少し長くなりましたが、医薬品業界に話を戻します。

 

英国がEUからwith no dealで離脱すると、医薬品の規制的にも英国は孤立します。

 

つまり、EUの承認は英国内で通用せず、またEUの承認の維持にはEUの人又は会社が代理人として必要になります(逆もまた然り)。

今回の例文は、欧州の医薬品等承認の維持のため、英国内の会社が代理人等も含めて欧州内の住所へ変更の手続きが必要なことに関してです。

なお、規制当局であるEuropean Medicines Agencyも英国内に留まることができないので、これから数ヵ月かけてロンドンからオランダのアムステルダムへ移転します。

現在のスタッフの7割程度が移転後もEMAに勤務ということですが、新医薬品の審査や市販後医薬品の安全性、品質関連業務への影響は甚大です。

適宜優先順位をつけて業務効率が下がっても必要な事項に対応すると思いますが、移転前と同等の業務遂行能力に戻るまでには数年は掛かるでしょう。

遠くなはれた欧州のことで対岸の火事のようですが、以前も品質関係の記事で書いたように日本への影響も結構あります。

なお、Brexit with no dealとなった場合、英国の医薬品、医療機器の規制当局Medicines & Healthcare products
Regulatory AgencyがEuropean Medicines Agencyの業務を引き継ぐことになります。

 

Brexitの結末を注意深く見守る必要ありです。

 

電話英語音声も追加しています。

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