1回1文!目と耳から服用するくすりの英語#26
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https://www.mag2.com/m/0001684701.html#detailbox
■例文:
The efficacy and safety of robotically-assisted surgical devices for use in prevention or treatment of cancer has not been established.
参考:
https://www.fda.gov/MedicalDevices/Safety/AlertsandNotices/ucm632142.htm
(リンク先へのアクセスは自己責任でお願いします)
■音声:
■語彙:
efficacy(ies):有効性
safety(ies):安全性
robotically-assisted surgical device(s):ロボット支援手術機器
■重要表現・解説:
for use in [名詞]:○○に用いられる
prevention or treatment of cancer:がんの予防又は治療
[be動詞] established:確立される■訳:
がんの予防又は治療用途におけるロボット支援手術機器の有効性及び安全性は確立していない。
■省エネフレーズ:
Efficacy and safety of robot-assist surgical device for cancer prevention or treatment is not established.
このフレーズを実際に自分で活用する際は、冠詞、完了形、3単現のs及び複数形を省略したり、前置詞のミスは無視しても十分通じる。
今回は、冠詞、完了形を削除し、複数形を単数形とした。また「robotically-assisted surgical devices for use in prevention or treatment of cancer」を「robot-assist surgical device for cancer prevention or treatment」と簡素化した。
省エネフレーズに関しての詳細は、製薬英語マスターの労力を8割減らすための3つのポイント(保存版)を参照されたい。
■編集後記
今回は、医療機器の話題でロボット支援手術機器を採り上げました。
Artificial Intelligence(AI)やReal World Data(RWD)が、製薬業界に大きな影響を与えているのはこれまでにもテーマとして書いてきました。
今回は古くて新しい技術であるロボットについてです。手術は外科医が行う特殊技能であり、技量の差が患者の生死に直接影響します。
ロボット支援手術機器は外科医が術部をより鮮明に確認したり、より精密な手技を手ぶれなしで支援したりする手術支援システムです。
米国では20年ほど前に承認され胸部外科や消化器外科の手術現場で使用されています。日本でもda Vinci サージカルシステムが数年前に承認されています。
さて今回の記事の内容ですが、米国FDAが「ロボット支援手術機器について、がんの予防(乳房切除術)や治療のための手術での有効性、安全性が確立していない」という見解を出したことに関してです。
そもそも、ロボット支援手術機器に関してはがんに関する適応がないのですが、手術を執刀する医師の観点からは支援システムが便利なので適応外の手術でも使ってみようというインセンティブが働くのでしょう。
(適応とはその製品が承認された使用目的のこと。詳細は以下の記事参照)
このことに関して、FDAはロボット支援手術機器に関してリスク・ベネフィットのデータベースを構築しようとしており、実際にがんに関する手術でロボット支援手術機器により手術の結果が向上したというエビデンスがないことに注意喚起しています。
本文中の参考のところにFDAウェブサイトのリンクを張っていますが、患者への注意事項も含まれていて、「医師にロボット支援手術機器による手術の経験数や術後の後遺症の可能性について質問する」ことを推奨しています。
これは日本でも実際に手術を受ける段階になったら、ロボット支援手術機器の関与の有無とは関係なしに納得のいく結果を得るために覚えておきたい情報と思います。
現在ロボット技術はあくまで人間の外科医のサポート役ですが、ロボット技術が発展していくとロボットだけで手術がより安全にできる時代が来るのでしょうか。